研修会参加者・受賞者の声

第56回近畿産業衛生学会若手奨励賞を受賞して
近畿産業看護部会 幹事 中村千賀

この度、栄誉のある若手奨励賞を賜り大変光栄に存じます。

共同研究者である近畿産業看護部会研究班の皆様をはじめ、インタビューにご協力くださった産業看護職の皆様、ご助言くださった先生方に深く感謝いたします。
本研究は、社会の中でも組織の中でも少人数の産業看護職はどのようなキャリアを求め、どのようにキャリア形成していくのだろうか?という疑問からスタートしました。人生の大きな節目である結婚・出産・子育て真っただ中の研究班の幹事と遅くまで自身のキャリアについて語り合ったことがきっかけでした。

今回10名の産業看護職へのインタビューを通して、改めて産業看護職の皆様の仕事だけではなく家族への思いを感じることができました。

近畿産業看護部会として、その思いを理論的に形に残し、少しでも産業看護職の皆様のキャリア形成の支援ができるよう、今後さらに研究を深めていく所存です。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

平成29年度 第1回定例研修会 報告

「平成29年度 第1回定例研修会・交流会に参加して」

「平成29年度 第1回定例研修会・交流会に参加して」
(一財)京都工場保健会 保健指導課
野元 有紀

浜松医科大学医学部看護学科地域看護学講座 教授 巽あさみ先生が、「学会発表って、ハードルが高い?研究のはじめ方 学会発表とは」というテーマでご講演をされました。研究の始め方“から学会発表という広いテーマでしたが、具体的なお話しもあり、とてもわかりやすい内容でした。「研究」と聞くと、非常にハードルが高い印象を受けますが、講演を通して、研究に対する印象が身近なものとなり、具体的な研究プロセスをイメージすることができるようになりました。例えば、私たちが日々業務の中で感じる問題や疑問などを、どのように研究という形に落とし込むかは、とても悩ましいところですが、研究のプロセスを一歩ずつ確実に踏みながら進める重要性を改めて強く認識しました。更に、本には記載されていないコツや相談先、最新情報、助成金、職場に倫理委員会がない場合の対応等もご教授いただきました。今後、産業保健師として、常に、専門能力の向上と最善の活動を心掛け、産業看護の発展に寄与するためにも、積極的に研究活動に取り組んでいきたいです。又、今回は、初の企画となる交流会にも参加させていただきました。私自身、他県から京都に転居し、4月から産業保健師として再スタートしたばかりでしたので、ネットワーク作りをしたいという思いもあり参加させていただきました。交流会は、1グループ4~5名のグループごとに行われました。内容は、自己紹介の後、グループ内でより多くの共通点を探すというものでした。同じ産業看護職でも、企業内の産業看護職、企業外労働衛生機関の産業看護職、産業保健総合支援センターの職員等、立場が異なっていましたので、様々な情報を共有することができました。一方、立場が異なっていても、共通の悩みもあり、意見交換もできました。非常にアットホームな雰囲気で行われ、有意義な時間となりました。

 

平成28年度 第2回定例研修会 報告

「ストレスチェック制度スタートから1年『悩んでいませんか?この制度で私は何をしたらいいの?』~産業看護職の役割を考える~」を拝聴して

社会医療法人製鉄記念広畑病院
総務部総務課係長(健康管理)
桂 久子

昨年10月のストレスチェック実施後に産業看護職の自分に出来ることはなんだろうか?と考えていた時に今回の研修の案内が届き、迷うことなく申し込みました。私自身は鉄鋼業で9年間、その後当院へ移り産業看護職として14年が過ぎようとしています。工場などの産業現場では当たり前の産業看護活動ですが、医療現場では産業保健の概念が稀薄で、色々な事に戸惑いながら業務を遂行している中、ストレスチェックを行う事になっていました。初めの(株)クボタの吉田保健師による「ストレスチェックへの取り組みについて」の講演では「同社では、産業医の面談を希望しない高ストレス者へ対しては、自動的に看護職の補助面談を受け、従業員も問題なく面談を受けている」と報告がありました。私自身も気になっていた部分への取り組みが既になされている事に、感銘を受けました。次の精神科専門医・認定産業医の渡辺洋一郎先生による「ストレスチェック制度~産業看護職に求められる役割~」の講演では、ストレスチェックは「生産性向上のための制度」という点を、改めて納得できました。「やるからには『労働者の健康と企業の発展につながるストレスチェックにする』という目的意識をもって実施すること」、「人間関係がいいとエネルギーも出る。やりたくないこともやりたい人と一緒にやれば面白くなる」など、渡辺先生から心に響く言葉をたくさんご教示頂きました。その後に、グループ討議で「ストレスチェック実施後、これからの課題、看護職が本制度にどこまで関わってゆくか」を話し合いました。私達のグループは現在の取り組みまでで時間切れとなってしまいましたが、色々な企業の取り組みを知ることができました。産業看護職の自分に出来る事をPDCAサイクルにより見直し、改善し今後も取り組んで行きたいと思いました。3時間の研修でしたが 内容が濃く有意義な時間を過ごさせていただいた事に感謝致します。

 

平成28年度 第1回定例研修会 報告

「産業看護職に求められる面談技術 気持ちとかかわるために」を拝聴して
 

株式会社健康管理室
藪内 雅貴

ストレスチェック制度が導入されたことでますます面接技術が重要となります。

今回、池見先生は傾聴アップデートとして①初心者には3条件(自己一致・無条件の肯定的なまなざし・共感的理解)の態度の習得は必要②より上達してくると、態度は保留して相手を理解すること、相手が自身を理解していくことが重要③「フェルトセンス→表現→理解」:体験過程を重視する3点とジェンドリンによる傾聴解説として①話している内にフォーカシングという過程がおこるようにする②聴き手の話し手についての気持ちや反応を利用する③聴き手自身が感じていることを利用する④集団での相互作用の4つの所作を分かりやすく事例を交えながら講演してくださいました。講演は私にとって驚き、衝撃の連続であり、面談技術について改めて学び、考える良い機会となりました。

「傾聴」と聞いてでてくることは何かと問われれば、「受容」「共感」が大切であり、「オウム返しの技法」が有効であるということが出てきます。講演は、それは誤解であるという話から始まりました。その瞬間の驚きをどう説明したらいいのかわかりません。

一番驚いたのは、「面談中に自分が思ったことを伝えてもいい」と聴いたときです。池見先生は相手の思うことと違うことを言っても相手は拒否できること、違う意見をきくことで同じ問題でも違う展開が出てくること、新しい理解は過去も変えることを、事例をふまえながら教えて下さいました。

面談技術が求められる中、似たような事例はあっても全く同じ事例がないことで、面談方法について悩まれている方は多いと思います。私は今まで学んできたことと実際との違いを感じていたので、講演を聴き面接技術について新たな学びが出来たことは大きな一歩に繋がったと思います。

今回の講演を活かし、対象者の気持ちと関わっていきたいと思います。

 

平成27年度 第2回定例研修会 報告

「高齢者介護に 今 直面している従業員をあなたはどうサポートしますか?~今、産業看護職にできること~」に参加して

大阪府人事局企画厚生課
西村 ちひろ

日頃の業務の中で、家族の介護について深刻な問題を訴えたり、仕事と介護の両立に悩んだりする職員と関わることが増えています。介護の現場を充分に把握しないまま相談を受けることに問題を感じていた中、今回の研修を受けることができました。

講師の長尾和宏先生には、①高齢者介護の現状、②介護者は何が大変か、③介護者はどこに相談すればいいか、④介護保険制度の現状と今後、⑤地域包括ケアシステムとは、について動画を交えてわかりやすくお話しいただきました。

在宅介護の現状は、老々介護、認認介護(認知症が認知症を介護)であること、介護施設はほとんどが満員で高価なため、改造した民家で雑魚寝状態の安価なお泊りデイが増えていること、介護スタッフには素人も多く介護事故が起こりうること、などが紹介されました。

介護者については、24時間365日過酷であり、終わりのない慢性疲労が不眠やうつ、介護殺人の原因になっていること、介護者を支える在宅医療スタッフも過重な労働を強いられていること、などが実例を交えて解説されました。相談窓口である地域包括支援センターについても、スタッフが多忙という実態から「何とかしてくれる所」ではなく「介護の基礎知識を教えてくれる所」として相談すること、と具体的な指摘がありました。介護現場の厳しさを改めて知るとともに、実際の相談や介護の方法について考えさせられました。

最後に今後の展望として、介護保険は医療保険との連携が重要であり、少産多死時代を乗り切るには、中学校区の地域をひとつの病院と考える「地域包括ケアシステム」が必要である、と提言されました。

講演冒頭から「本音で語ります」とお話しいただき、介護の具体的、実際的な現状を学ぶことができました。自分の知識不足を実感する機会にもなり、先生の執筆本を一度拝読したいと考えています。学んだことを職員からの相談に活用できるよう、今後も自己研鑚に努めたいと思います。

 

平成27年度 第1回定例研修会 報告

「第1回定例研修会に参加して」

YKK AP株式会社関西支社 大阪健康管理センター
森川 潤子

先日の産業看護部会第一回定例研修会に参加させていただきました。

今回の研修はメンタル対策の中でも、「再発を繰りかえす社員への対応の中で看護職の果たす役割」がテーマで、自分自身にできること、自分に足りないところは何かを学びたいという気持ちで参加しました。

職場復帰において、再発させないことは大きな課題です。鍵本先生は主治医、産業医の両方の立場をご経験されており、その両者の視点からのご講義に説得力を感じました。特に、主治医や産業保健スタッフ、上司や人事の連携がうまくいかないことが、職場復帰の失敗要因としてあげられていたことに、感銘を受けました。

看護職は人をつなげる連携力、様々な情報を収集できる能力が求められることを述べられており、それはまさしく産業看護職のコーディネート機能だと感じました。特に産業医が常時いない職場では、多角的に情報を得て、それを産業医と共有する看護職の役割は大きいです。日頃から職場でコミュニケーションをとり、親しみやすさと信頼性を得ることが産業看護職の力、役割になるのだと思いました。

また、研修の後半には、事例を用いたグループワークもありました。欠勤を繰り返す社員の事例は、どの事業所でも実例があると思います。他の事業所の産業看護職の方々とのグループワークは、自分自身の取り組みや視点の再確認にもなり、また違う角度でのアプローチ等を学ぶ機会にもなりました。

鍵本先生がおっしゃっておりました、「“復職は通過点”それぞれの立場でベストを尽くすことが労働者のためになる」と言う事を念頭に置き、産業看護職だからできることを考え、復職支援だけでなく健康管理なども取り組んでいきたいと気持ちを引き締めることができました。

これから今回の研修での学びを、当センターでの活動に活かしていきたいと思います。